川上 未映子
講談社
発売日:2009-09-02

久しぶりに小説を読んだ。文章のテクスチャは非常に優れており、ここのセンテンスやエンディングは優れた美しい文だと感じるが、いかんせん小説としての筋書きが弱い。主張登場人物が出揃った時点で「起きそうな事」のいくつかが想像され、実際そのうちの一つでストーリーは展開されてる感じ。

全体には not so bad な小説だとは思うのだが、どうにも、いじめの描写を読み続けるのが辛く、それなりに美しく深みも感じるクライマックスとエンディングとはいえ、「頑張っていじめの描写を読んだ我慢」に見合うかというと微妙だったので、あまり評価は高くないです。また、女子いじめられ側(コジマ)の人物造形が微妙。

もちっと若い頃に読んだらもちっと評価が高くなったかもしれない。でもある程度から、不条理の描写を敢えてされても、不条理に纏わるもろもろから得られるものより、ネイティブな拒絶感の方が強くなってしまっているのでつらいです。別にそこが大丈夫な人ならそれなりに面白いと思われます。