「そもそも理系と文系ってのはどうやってできた区分なのか」を知りたいなあと思ってなんとなく調べて以来、日本の大学ってどうしてこういう制度になっているのかが結構興味がある。
というところでこの本が図書館にあったので読んでみました。
これはとってもイカした本であった。読んでよかった。
個人的に面白かったのは大きく分けて3つで、
- 近代日本の学校制度は、小学校から上っていく軸と高度大学=帝国大学から降りていった軸が別立てで成長し、その接合に非常に苦労していた点
- 大学の学位付与権の位置づけはかなり曖昧で、アカデミア=帝国大学である中での高等教育機関卒業によって得られるものが何であるのかが初期はかなり不明瞭
- 私立大学の揺籃期に関する、特に「官学-私学」の構成軸に関する議論
特に私学出身者としては、私学の成立史はすげえ面白かった。初期の慶應ってやっぱ面白いな。一番出てくるの東京専門学校=早稲田だけど。
いくつか印象的な話題。
- 「X周年事業」で基金を集めてインフラ投資をして、その後の事業を回していくというビジネスモデルの起源
- かなり初期の大学に対する文部省の「飴と鞭」として使われた道具が、兵役免除であったこと
などもかなり面白い。
ココロに響いた節を2つほど引用。
P346「私学がまだ、『学歴』と無縁の自由な学習の場でありえた時代が、たしかに合ったのである」
P374「国家は一切の財政的な支援をせず、ひたすら『アメとムチ』で私学の、まさに命がけの努力を引き出し、私的で個人的な負担による低廉なコストで、高等教育の機会の拡大と人材養成をはかる。現在に至る、巧妙とも狡猾ともいうべき高等教育政策の形は、明治36年という二十世紀の始まりの時点で、すでに作られていたことになる。」
面白そうでしょ?面白そうじゃない?そうですか...