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東洋経済の川島令三先生の記事がひどいのでdisる件

今出てる週刊東洋経済の鉄道特集が、2つも川島令三先生のご高説を垂れ流していている。流し読みして気にしてなかったんだが、よく読んだら一個あまりにひどいのでdisります。

P51, 「つまりヨーロッパと日本の新幹線の決定的な違いは車体の大きさである。したがってアメリカが新幹線を導入するとなれば日本規格になるはずだ。車体の小さいヨーロッパ規格を導入すると在来線に直通しにくい。逆にヨーロッパが大陸横断規格の車体を造るにはそれなりのノウハウが必要である。」

意味わかんねえし、日本以外の鉄道知らなすぎる。3行目の意味がまったく分かりません。在来線って何!ねえ何!百歩譲っても日本の新在直通でも車体幅なんて導入の可否決めるような要素じゃないでしょう。4行目に至っては、少しは調べたらどうなんですか。

(後記)あまりに自分も書き散らしたのでここに趣旨をまとめ直しておきます。要するに、P51で書かれている川島先生の主張には全然根拠がないし、単なる思いこみを書き散らしているだけです。車体幅を変えたい時に、インフラ側を変更するのは非常に大変ですが(ホーム作り直したり、トンネル掘りなおしたりする必要があるから)、車輛メーカーが車体幅を変えるのは別にそれほど大変ではありませんし、現実に日本のメーカーにしろヨーロッパのメーカーにしろ、数多くのパターンを作っていて、「それなりのノウハウ」なんてものが必要だとしても、既に持っています。なので、アメリカの高速鉄道計画への競争において、日本の新幹線が車体幅のおかげで優位なんてことはありません。以下は、途中から楽しくなって調べた、新幹線/TGV/ICEベースの各種車輛の車体幅に関するレポートです。

確かに今後、ヨーロッパの多くはUIC規格に従うだろう。ちなみにUIC規格の車体幅は2950だそうだ。そしてUIC規格はどうやって決まるかといえばフランスとドイツが決めたからだ。鉄道の国際規格ってのはそういうもんだ。

そもそも同じヨーロッパっつったって、イギリスとそれ以外では車体幅が違う。それは言うまでもないが、フランスにしたって、TGVはオリジナルのTGV Sud-Est は空気抵抗軽減による高速化のためだったと思いますが、2810mm だが、TGV Atlantique あたりでは 2900mm に広げているようだ。韓国のKTX は TGV Atlantique と同一仕様で悪評買って、国産新バージョンでは広げたんだっけ?

TGVベースとはいえ、だいぶModifyされているアメリカ東海岸線向け Acela Express は機関車の車体幅は 3180mm あるようでございます。ついでにいえば

ICEなんか出荷先ごとに全然違いますよ。ICE2は3020mm, ICE3はフランス乗り入れのためにUIC規格に合わせたから2950mm, 中国向けCRH3こと Velaro CN は 3365mm、ロシア向け Velaro RUS は 3265mm。

車輛幅ぐらいヨーロッパの車輛メーカー様が対応できないわけがないじゃないか。30分あけばこれぐらいの反証が調べて書けるんだよ。

参考までに 209系0番台は 2800mm, 209系500番台は 2950mm、N700系は 3360mm、0系〜700系は 3380mm, 400系は 2947mm だ。E2系と CRH2 は全く同一寸法。

えーと、まとめると、

209系(在来線狭幅) < TGV Sud-Est = Eurostar < TGV Atlantique = KTX < 209系500(日本在来線、ただし裾絞り) = UIC = ICE3 < ICE2 < Acela Express < Velaro RUS < N700 < Velaro CN (CRH3) < 0〜700/E2 = CRH2

だ。

でも書いていて気づいたが、つまり Velaro CN こと CRH3 と新幹線の車両幅はほぼ一緒。これは著者も書いている通り、どっちも満鉄の車両限界から来てるんですかねこれ。面白いなあ。

まあそれはともかく川島令三さんいつもの事ながら、blogじゃないんだから書き飛ばしとかやめてくださいよいい加減。まして、そんな記事載せないでください東洋経済。折角同じ特集の他の記事がいいのに台無しだ!

参考資料。

http://ja.wikipedia.org/wiki/TGV

http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-ice3.htm

http://www.trainweb.org/tgvpages/acela.html

雑誌リスト

新任教員向けに雑誌のリクエスト募集をもらったんだけど。

そりゃまあ、鉄道ジャーナル 2008年 06月号 [雑誌]
旅と鉄道 2008年 06月号 [雑誌]
鉄道ファン 2008年 06月号 [雑誌]
AIRLINE (エアライン) 2008年 06月号 [雑誌]
m9(エムキュー) (晋遊舎ムック)
クイック・ジャパン74 (Vol.74)
サイゾー 2008年 05月号 [雑誌]
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 05月号 [雑誌]

とかいろいろあるんだけど多分およびじゃないので、比較的まともなところで

新建築 2008年 05月号 [雑誌]
デザインの現場 2008年 04月号 [雑誌]
Web Designing (ウェブデザイニング) 2008年 05月号 [雑誌]
Software Design (ソフトウエア デザイン) 2008年 05月号 [雑誌]


とか書いておいたんだけど、でも全然足りないよなー、

と思いつつ、全然自分が最近雑誌(のぞく鉄道*/エアライン)読んでないことに気づく。

雑誌の時代はやっぱ80-90年代なんだよなー。懐古趣味だけど。

もちろん仕事上必要なJournalとかは別にあるんだけど、どーせオンラインじゃないと最近読まないことが多いし、大学図書館にはやっぱり自分が大学生のころ魅力的だったようなラインナップがあって欲しい気がする。

んだけどな、やっぱりコレは外しちゃだめ!みたいな雑誌ってやっぱないもんだなあ今時。ネトラン?

鉄道復権

やっと例の「鉄道復権」東洋経済を買ってペラペラざっと読んでみた。

んー、これはすごいな。なんでこんな力入ってるんだろう。でもシンプルな話、道路特定財源の話がこんだけ騒がれてるのに、この程度の「現代鉄道常識」が鉄道趣味紙以外でまともに取り上げられて無かったってのも問題っつや問題よね。

貨物モーダルシフトもLRTも三大メーカー+韓国ロテムの話も一通り入ってるしなー。

三井物産の鉄道機器リースの話は、もうちょっと大きく取り上げて欲しい感じがしたけど。ヨーロッパの上下分離と組み合わせた動きとしては非常に面白いからなー。

あとやっぱ、道路特定財源の話と絡む話として、ヨーロッパでの公共交通機関に対する補助金スキームと日本の違いをもうちょっとつっこんで欲しかったなー。週刊東洋経済なんだし、もうちょっとお金の話が必要なんじゃないかという気もした。続きを読む
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